非正規様相論理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 14:15 UTC 版)
非正規世界はソール・クリプキによって1965年に導入された。これは、公理系Kよりも弱い様相論理、特に必然化規則規則 (necessitation rule) を棄却する様相論理に意味論を与える純粋な技術的手段として用いられた。以下、 ◻ {\displaystyle \Box } は必然演算子である。 ⊢ A ⇒ ⊢ ◻ A {\displaystyle \vdash A\Rightarrow \ \vdash \Box A} . そのような論理学は典型的に"非正規"であると言及される。クリプキ意味論における様相論理の語彙の標準的な解釈の下では、各モデルにおいて A {\displaystyle A} がすべての世界で成立する場合およびその場合に限り、 ⊢ A {\displaystyle \vdash A} である。 A {\displaystyle A} がすべての世界で成立するが ◻ A {\displaystyle \Box A} は成立しないモデルを構築するには、 (i) ◻ {\displaystyle \Box } を非標準的な方法で解釈する( A {\displaystyle A} の真実をすべての到達可能 (accessible) な世界においてだけ考えるのではなく、到達不可能な世界を導入する)、または (ii) 妥当であるための条件を再解釈する必要がある。この後者の選択はクリプキが行った仕事である。正規なものとして世界の分類を選び出す、そしてあるモデルにおけるすべての正規世界で真であるべき妥当性を設定する。この方法により、 A {\displaystyle A} がすべての正規世界で真であるが、 ◻ A {\displaystyle \Box A} は真ではないモデルを構築することができる。われわれは、この ◻ A {\displaystyle \Box A} が成立しない世界は正規ではない到達可能な世界を持つことを保障する必要があるだけである。このとき、 A {\displaystyle A} は成立しないことが可能である。それゆえ、 論理が真実であることに関わらず、われわれの今いる世界では ◻ A {\displaystyle \Box A} が必然であることは成立しない。 これらの非正規世界は、 論理学に従って真であるものによってそれらが制約されていないという意味で不可能である。 ⊢ A {\displaystyle \vdash A} という事実から、 A {\displaystyle A} が非正規世界で成立することにはならない。 世界の概念を持つ様相論理による言語の解釈についてのさらなる議論は、様相論理学およびクリプキ意味論の項目を参照のこと。
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