青銅の町の綺談(第339夜 - 第346夜)
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「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「青銅の町の綺談(第339夜 - 第346夜)」の解説
バートン版「真鍮の都(第567夜‐第578夜)」 東洋文庫版「黄銅城の物語(第567夜‐第578夜)」 ダマスの教王アヴドゥル・マリク・ベン・マルワーンは、スライマーン・ベン・ダーウド(ダビデの子ソロモン)が封じた魔神が煙となって詰まっている壺の話をきき、旅人ターリブ・ベン・サハルに親書を持たせてとりにやらせた。 親書を受け取ったマグリブの太守ムーサが長老アブドサマードを呼びだして情報を聞くと、壺が沈んでいる海の背後の山には人が住んでおり、「青銅の町」という。そこへ至る道は魔神の版図で、旅にはかなりの困難が予想されるという。ムーサはアブドサマードの進言に従い、遺言をのこし、ターリブ、アブドサマードと共に少人数パーティを率いて旅立った。 一行はある日宮殿に出る。それはクーシュ・ベン・シャッダード・ベン・アード大王(アードの子シャッダードの子クーシュ。ノアの子孫)の墓であった。 宮殿を出て進んでいくと、青銅の騎馬武者像を見つける。像には「町への道を知りたくば我を動かせ」との表示がある。一行は像の案内により正しい道を知った。 さらに進むと、石の柱につながれて半身を地上に埋められた、恐ろしげないきものを発見する。それは鬼神ダエーシュ・ベン・アラエマーシュで、かつて海原を統べる王とスライマーンが戦ったとき、軍団の隊長を務めたものだ。スライマーンに反逆した罪により、彼はここにつながれ、部下たちは壺に封じられて海底に沈められたのである。 鬼神を置いてさらにゆくと、ついに「青銅の町」にたどりつく。しかし城壁には、ひとつとして扉というものがない。城壁をよじのぼって中に入るが、警備兵も市場の人々も、ムーサらが近づくと時間がとまったかのように動きを止めてしまう。さらに財宝に満ちた城内へ入った一同は、隠し部屋でねむる美女を見つけた。ターリブが美女に手を出そうとすると、傍らにいた衛兵がとつぜん動きだしターリブを殺す。ムーサらはおどろいて青銅の町を後にし、海岸へ出た。 そこには漁師たちがいた。話を聞くと、件の壺はいくらでも手に入り、彼らは普段使いにしているという。壺の栓をぬく前に、スライマーンへの罪を償う誓いを立てさせれば、鬼神は害をなさないのだ。漁師たちは十二個の壺と、ふたりの人魚をムーサらに献上する。 そうして教王のもとへ壺と人魚がもたらされた。教王が壺を解放すると、いずれも壺から黒雲が出てきて鬼神の形にかわり、反逆の謝罪を述べて消えた。人魚たちはしばらく泉で遊ばせていたが、まもなく熱病で死んでしまった。
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