震度と加速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 13:04 UTC 版)
2003年5月26日の宮城県沖地震では、岩手県大船渡市大船渡町(当時、大船渡測候所が所在)の計測震度計で東西方向に1105galという非常に大きな加速度が記録された。加速度に質量をかけると力になるが、このように大きな加速度でも大船渡市大船渡町ではほとんど被害はなかった。なお、このときの大船渡市大船渡町の震度は6弱であった。 1995年1月17日の兵庫県南部地震では、神戸市中央区中山手(当時、神戸海洋気象台が所在)での最大加速度は818gal、震度は6であったが、大きな被害となった。当時の地震計は現在の震度計とは異なっているが、これを現在の計測震度を求める方法で計算すると震度6強に相当する。これは、計測震度の計算には、加速度の大きさの他にも、揺れの周期や継続時間が考慮されるためである。地震動は地震や観測点の地盤や地形などによって異なるのである。 構造物はそれぞれ揺れやすい振動の周期を持つ。この周期をその構造物の固有周期と言う。構造物は地震波のなかに含まれている固有周期の波と共振し大きく揺れるため、構造物の被害はその地震波の中にその構造物の固有周期の波がどれだけ入っているかによる。一般に構造物は短い周期の地震波では壊れないが、長い周期の波では壊れる。宮城県沖地震の場合、大きい加速度を記録したものの、地震波の周期が短かったことが、被害の少なかったひとつの理由である。
※この「震度と加速度」の解説は、「強震観測」の解説の一部です。
「震度と加速度」を含む「強震観測」の記事については、「強震観測」の概要を参照ください。
- 震度と加速度のページへのリンク