電子ビーム溶接
電子ビームを熱源として溶接する方法である。図に示すように、真空中で陰極を加熱して発生させた電子に高電圧をかけ加速させ、さらに電磁コイルやレンズで集束させた高密度の電子ビームを照射し、その衝撃により発生する熱で、被溶接物を溶融させ溶接をする方法である。電子を高速かつ高精度で制御することで、アーク溶接に比較すると倍以上の高エネルギー密度が得られ、融点の高い材料の溶接や、溶け込みが深く、溶接ひずみの少ない高精度の溶接ができる。自動車ではパワートレイン関係の精密部品や電子機器など、微小な部品の溶接に使われている。
電子ビーム溶接
電子ビーム溶接
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 07:21 UTC 版)



電子ビーム溶接(でんしビームようせつ、英語: electron beam welding)とは、融接に分類される溶接の一種。真空中でフィラメントを加熱させ、放出された電子を高い電圧で加速させ、電磁コイルで収束させたうえで、母材に衝突させ溶接を行う方法である。
特徴
電子ビームを母料に衝突させて、その運動エネルギーが変換されて生まれた熱エネルギーにより溶接する方法である。長所としては、高真空中で溶接を行う為、大気の汚染がなく、薄板から厚板まで溶接が可能である。また、溶接部に加えられる入熱量が少ない為、溶接後の歪みが少なく、非常に深い溶け込みが得られる。短所としては、溶接装置が高価でX線の放射の問題がある。
溶接方法
高真空中でフィラメント電極から高速に加速された電子ビームを、集光レンズと呼ばれる電磁コイルで適切なサイズへ集束され、真空容器に入れられた母料に衝突させる。真空で溶接を行う為、真空容器にはのぞき窓、排気装置、材料を動かす為の接地された可動テーブルが取付けられている。
関連項目
電子ビーム溶接
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 06:05 UTC 版)
電子ビームを溶接部に当てて加熱する溶接。入熱量が少なく、非常に深い溶け込み深さが得られるので精密な溶接に向く。異種金属の接合も可能。ただし真空中でしか溶接できないので、コストは非常に高い。使用例は人工衛星や深海探査艇、高エネルギー加速器の部品などで、かつてはコストを無視できるような特殊な製品でないと使うことは出来なかった。代表例として、F-14戦闘機の可変翼のチタン部品の熔接に用いられた。当時では極めて高価で高度な技術であった。しかし近年、自動車のAT率の増加に伴い、トランスミッションギアの溶接に使用されるようになり、日本ではほとんどの自動車メーカー及び系列の部品メーカーが採用している。米国の自動車メーカーは、制動X線が発生することから採用せず、レーザー溶接を採用している。
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