零次反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 03:26 UTC 版)
零次反応とは、反応速度が反応物の濃度に依存しない反応である。反応物の濃度が増加することで反応が加速することはなく、反応した物質は単純に経過時間に比例する。零次反応は物質が反応の進行のみに必要な場合で、反応が起こる触媒や表面が反応物によって満たされた場合に見られる。零次反応の速度式は次のように表される。 r = k {\displaystyle \ r=k} ここで、rは反応速度、kは濃度を時間で割った単位を持つ速度定数である。もしこの反応が以下の3つの条件を満たす場合、kが時間の次元を持つことを以下のように系の物質収支方程式を解いて示すことができる。その条件とは 閉じた系で反応が起こっている。 反応中間体が生成していない。 他に反応が起こっていない。 の3つである。 r = − d [ A ] d t = k {\displaystyle r=-{\frac {d[A]}{dt}}=k} この微分方程式を積分すると、以下のような積分零次反応速度の法則が得られる。 [ A ] t = − k t + [ A ] 0 {\displaystyle \ [A]_{t}=-kt+[A]_{0}} ただし、 [ A ] t {\displaystyle \ [A]_{t}} はある時間tでの反応物Aの濃度、 [ A ] 0 {\displaystyle \ [A]_{0}} は、初期濃度(英語版)を表す。 零次反応は時間に対し濃度 [ A ] t {\displaystyle \ [A]_{t}} をプロットすると直線が得られる。その直線の傾きは − k {\displaystyle -k} である。 また、反応の半減期は反応物の濃度が初期濃度の半分になるまでにかかる時間である。 (一次反応である放射性崩壊の半減期と同じ) 零次反応では半減期は次の式で与えられる。 t 1 / 2 = [ A ] 0 2 k {\displaystyle t_{1/2}={\frac {[A]_{0}}{2k}}} 零次反応の例には次のようなものがある。 ハーバー・ボッシュ法の逆反応: 2 NH 3 ( g ) ⟶ 3 H 2 ( g ) + N 2 ( g ) {\displaystyle {\ce {2NH_{3}(g)->{3H_{2}(g)}+{N_{2}(g)}}}}
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