集計の経緯と批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 22:29 UTC 版)
「2017年ケニア国政選挙」の記事における「集計の経緯と批判」の解説
IEBCが公表していた速報値では、ケニヤッタ候補が約10%のリードを維持し続けていた。だが、選挙直前に複数実施された世論調査では、ケニヤッタ候補とオディンガ候補の支持率は約40%台で拮抗しており、オディンガ候補がわずかに優勢な調査もあった。オディンガ候補らNASA側は選挙当日の8日夜の時点でIEBC委員長らに速報を中止するよう要請したが、IEBCは混乱を招くとしてこの要請を受け入れなかった。オディンガらは翌日9日10時すぎに記者会見を行い、速報値はハッキングにより操作されたものだと主張しIEBCを批判した。彼らは各投票所・集計所の集計用紙が同時公開されておらず、速報値には根拠がないと主張した。加えて、投票直前に殺害されたシステム担当者のIDを使用したハッキングが行われ、大統領選でケニヤッタ候補が11%リードするよう速報値が操作されているのだと主張した。これに対し、IEBC委員長は速報値は「非公式」なものだと述べ、ハッキングについては調査中だと述べるにとどまった。 8月10日、NASAの党の1つANC(英語版)のムサリア・ムダバディ(英語版)党首は、IEBCの極秘情報源から獲得したデータを野党独自で集計したと述べ、その結果オディンガ候補が804万票、ケニヤッタ候補が770万票だったと主張してIEBCにオディンガ候補の当選を公表するよう求めた。8月11日午後、野党側が再度記者会見を開き、今回の選挙では司法を通じた不服申し立てをする予定はないと語った。アジア経済研究所の『IDEスクエア - 世界を見る眼』ではこの記者会見について、それまで支持者に静観するよう促していた野党がついに街頭行動を仄めかしたと説明している。だが、同日21時前、IEBCはケニヤッタ候補の再選を発表した。ケニヤッタ大統領は勝利演説を行ったが、野党側は不正だと主張して発表会場を後にした。 選挙結果が公表されてから5日目の8月16日、オディンガ側は選挙に多数の不備、不正があったとしてIEBCを厳しく批判し、司法を通じて選挙結果に対する不服申し立てを行うと発表した。このときNASA側は選挙の不備、不正として、公示にない投票所が票の捏造に使用されたこと、速報でケニヤッタ候補が常に約11%のリードを維持するという統計的に異常な推移がみられたこと、投票所レベルの集計用紙が一部公開されたのみで集計所の集計用紙が未だに公開されていないこと、IEBC幹部の殺害後に専用サーバーがハッキングを受けた痕跡があったことなどを挙げた。このすぐ後に各集計所の集計結果が公表されたが、『IDEスクエア - 世界を見る眼』によれば署名欄が空欄になっている、用紙にコピーされた形跡がある、各投票所の集計結果と一致しない、各投票所の集計用紙のうち約15%が未公開のままであるなど、多数の問題点があったという。
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