銅系酸化物超伝導体との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/15 00:13 UTC 版)
「鉄系超伝導物質」の記事における「銅系酸化物超伝導体との比較」の解説
イットリウム系超伝導体などの銅系酸化物超伝導体においては、超伝導を担うCuO2面を多層化すると転移温度が上昇することが知られており、鉄系超伝導物質ではAFe2As2などが多層構造を有する。この構造では、AにBa(バリウム)を用い、その一部をK(カリウム)で置換することで高い超伝導転移温度が得られている。一方で、銅系ではCuO2面の元素を置換すると超伝導特性が急激に悪化するが、鉄系ではFe(鉄)を10%近くCo(コバルト)などで置換してもそれほど大きな変化は見られない。 銅系酸化物は母物質がモット絶縁体であり、キャリアをドープすることで生じる異常金属相が超伝導性を示すが、鉄系超伝導体は母物質がもともと金属であり、化学修飾の果たす役割は明らかになっていない。また、銅系ではフェルミ面がCu(銅)の一つの3d軌道とO(酸素)の2p軌道からなるが、鉄系では酸素などアニオンの寄与はほとんどなく、五つの3d軌道から構成される。このため、鉄系ではフェルミ面に複数のポケットが存在し、複雑な構造を有する。
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