針 (生物)とは? わかりやすく解説

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針 (生物)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 23:46 UTC 版)

ハチの毒針と、その先端から沁み出す毒液
シナイデザートスコーピオン英語版サソリは湾曲した尾の先端に毒針を具える。
キオビクロスズメバチ英語版[1]の毒針/走査型電子顕微鏡による画像。
キオビクロスズメバチの毒針/電子顕微鏡による画像。
アカエイの毒針(毒棘)

生物における(はり)は、体の一部が変形した、細く鋭い状の突起物を指す。主に動物体に見られる。英語では "stinger" および "sting" の一種ということになるが、日本語の用法とは差異があり、産卵管も含む(語自体も「」と同じく本義では非生物に用いられる)。

棘との違い

「針」と「」には明確な定義が無いため、両者は混同されることが多い。一般的には、とても細く、単独で存在し、突き刺すという攻撃性の役割を担うものが「針」、少し太めで、数多く存在し、外敵から体を護るなどといった防御性の役割を担うものが「棘」と、このように使い分けられているようであるが、その境界は曖昧である。

また、専守防衛[2]的で多数が存在するものとして、例えば、アカエイエイ類の一部が尾に持つ毒針などがあるが、日本語ではこれを「毒棘」と呼ぶことも少なくない。

毒針

針構造のなかで、刺した対象にを注入または滴下するものを特に毒針と言い、専門用語生物学分野等)で「どくしん」、一般用語では「どくばり」と呼ぶ。

ハチ目昆虫が持つ毒針は産卵管が変形した器官である。このため同じハチ目であっても雄蜂には毒針がない。針の中に細い溝があり、刺して流し込む構造になっている。それほど固くない状の毒針(器官系の毒針のなかにある器官なので、器官系の毒針と混同しないよう注意)の下面が毒針鞘(どくしんしょう)と呼ばれる外骨格の延長に包まれている。毒針鞘は対象を刺すための器官である。毒腺という器官で作られた液体の毒が一時毒嚢に蓄えられ、毒針の中を進んで送り出される。

刺胞は、刺胞動物が具える毒針である。攻撃性(捕食用の攻撃性)と防御性はともに高く、その数はおびただしい。

体に毒性の具える魚類毒魚英語版のなかで、毒針や毒棘で刺すものを刺毒魚英語版(しどくぎょ)と言い、比較的よく知られているものは、エイ類(例:アカエイ)、ゴンズイ科フカカサゴ科英語版(例:フカカサゴ英語版ミノカサゴオニオコゼ)、ハオコゼ科(例:ハオコゼ)、アイゴ科(例:アイゴ)などに見られる。

ギャラリー

毒針

毒を分泌する他の生物部位

毒を分泌する他の生物部位のうち、突起物構造を持つもの(毒針や毒棘と似たところがあるもの)を挙げる。

  • 毒牙 :毒を分泌する
  • カモノハシの蹴爪 :雄は毒の混合物を分泌する蹴爪を具えている。

脚注

  1. ^ スズメバチ亜科スズメバチ属英語版の1種。
  2. ^ 専守防衛とは、自ら他へ攻撃をしかけることは無く、他から攻撃を受けたときに初めて自己防衛のために攻撃性を発揮すること。

関連項目


「針 (生物)」の例文・使い方・用例・文例

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