量子理論的分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 14:24 UTC 版)
水素原子は単純な二体問題の系として多くの分析的な単純解を生成してきたことから、量子力学や量子場理論において特別に重要な意味を持つ。 1913年、ニールス・ボーアは多くの仮定を置いて単純化することで、水素原子のエネルギー準位及びスペクトル周波数を得た。ボーアの原子模型の基礎であるこれらの仮定は完全に正しくはないが、かなり正しいエネルギー値が得られた。ボーアの原子模型では、それぞれのエネルギー準位は整数値の量子数 n で識別され、 E n = − m e c 2 α 2 2 n 2 . {\displaystyle E_{n}=-{\frac {m_{e}c^{2}\alpha ^{2}}{2n^{2}}}.} で与えられるエネルギーを持つ。ここで、me は電子の静止質量、c は光速、α は微細構造定数である。周波数とエネルギー値に関するボーアの結論は、1925年から26年にかけてのシュレーディンガー方程式の解と同値のものである。水素についてのシュレーディンガー方程式の解は解析解であり、水素のエネルギー準位とスペクトル線の周波数についての簡単な表現を与える。シュレーディンガー方程式の解は他に2つの量子数と様々な量子状態での電子の波動関数の形を与えるためボーアの原子模型よりもさらに詳細な情報が得られ、これにより原子結合の異方的な性質が説明できる。 シュレーディンガー方程式はもっと複雑な原子や分子にも適用できる。電子か核子の数が1つを超えると解は解析的には求められず、コンピュータ計算か仮定の単純化が必要となる。 シュレーディンガー方程式は非相対性理論的な量子力学にしか適用できないため、水素原子に関して得られる解は完全に正確なものではない。このことは相対論的量子力学に基づくディラック方程式によって改善される。
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