重力赤方偏移とは? わかりやすく解説

重力赤方偏移

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 21:06 UTC 版)

赤方偏移」の記事における「重力赤方偏移」の解説

重力赤方偏移(gravitational redshift)とは、重力場中の光の波長長くなる現象である。 一般相対性理論において、時間の流れどれくらい変化するかは、計量という式によって表わされる。最も簡単なシュヴァルツシルトの解では、質量Mの天体から距離rだけ離れた地点における計量は以下の式になる。 Δ τ = 1 − 2 G M c 2 r Δ t {\displaystyle \Delta \tau ={\sqrt {1-{\frac {2GM}{c^{2}r}}}}\Delta t} ここで、 Δ τ {\displaystyle \Delta \tau } は、距離rの地点における時間の流れを表わし、 Δ t {\displaystyle \Delta t} はその天体から無限遠方の地点における時間の流れ表わす。この式により、距離rの地点における時間の流れ遅くなることが表わされるまた、 2 G M / c 2 {\displaystyle 2GM/c^{2}} はシュヴァルツシルト半径表しており、距離rがシュヴァルツシルト半径等しいときは遠方から時間が全く経過しないよう見えることを示している。 光の波長λ、振動数νと光速度cとの間には、λν = c の関係がある。光の振動数単位時間当たりの振動回数であるから時間進み方が遅くなる遠方観測者からは、振動数小さく波長長く観測される。 これを使って、重力赤方偏移の大きさ計算すると以下のようになる天体中心から距離rの地点波長 λ e m {\displaystyle \lambda _{\mathrm {em} }} の光が放射され遠く離れた地点において、その光の波長が λ r e c {\displaystyle \lambda _{\mathrm {rec} }} と観測されたとすると、 λ e m = − g t t λ r e c = 1 − 2 G M c 2 r λ r e c {\displaystyle \lambda _{\mathrm {em} }={\sqrt {-g_{tt}}}\lambda _{\mathrm {rec} }={\sqrt {1-{\frac {2GM}{c^{2}r}}}}\lambda _{\mathrm {rec} }} この λ e m {\displaystyle \lambda _{\mathrm {em} }} を、赤方偏移zの定義、 z = λ r e c − λ e m λ e m {\displaystyle z={\frac {\lambda _{\mathrm {rec} }-\lambda _{\mathrm {em} }}{\lambda _{\mathrm {em} }}}} に代入すると、zの式は λ r e c {\displaystyle \lambda _{\mathrm {rec} }} の式となる。すなわち、zの理論上の値が、観測値 λ r e c {\displaystyle \lambda _{\mathrm {rec} }} から計算できる1984年宇宙科学研究所ISAS)のX線観測衛星 てんま が、中性子星の強い重力による重力赤方偏移を世界で初め捉えた報じた

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