酵母のヘテロクロマチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/04 17:43 UTC 版)
「ヘテロクロマチン」の記事における「酵母のヘテロクロマチン」の解説
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)はモデル真核生物であり、そのヘテロクロマチンは詳しく研究されている。出芽酵母のゲノムのほとんどはユークロマチンとして特徴づけられるが、なかには稀にしか転写されないDNA領域が存在する。接合型遺伝子座(HMLおよびHMR)、リボソームRNAをコードするリボソームDNA、そしてサブテロメア領域がこれにあたる。 分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)は、出芽酵母とは異なる機構によってセントロメア近傍のヘテロクロマチンを構築する。この領域における遺伝子サイレンシングはRNAi経路の因子に依存する。二本鎖RNAが一連の段階を経て遺伝子サイレンシングをもたらすと信じられている。 分裂酵母では、RNAi経路の2つの複合体、すなわちRITS(the RNAi-induced transcriptional gene silencing)とRDRC(the RNA-directed RNA polymerase complex)が、ヘテロクロマチンの確立、拡張、および維持に関わる。これらの複合体はヘテロクロマチン形成の場にsiRNA依存的に局在する。RNAポリメラーゼIIが、RITSとRDRC、およびヘテロクロマチン形成に必要な他の構成因子を呼び込むためのプラットフォームとして機能する転写産物を合成する。 RNAiと、エキソソーム複合体依存的なRNA分解過程がヘテロクロマチンによる遺伝子サイレンシングに貢献する。分裂酵母におけるこれらの機構はおそらく他の真核生物においても存在する。 RevCenと呼ばれる大きなRNA構造もまた、ヘテロクロマチン形成を仲介するsiRNAの生産に関与することが指摘されている。
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