酵母ゲノム内での動的なヌクレオソームリモデリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 08:06 UTC 版)
「ヌクレオソーム」の記事における「酵母ゲノム内での動的なヌクレオソームリモデリング」の解説
2007年の研究では、酵母ゲノム中のヌクレオソームの位置の一覧が作成され、プロモーター領域や複製起点ではヌクレオソームが失われていることが示された。酵母ゲノムの約80%はヌクレオソームで覆われているようであり、ヌクレオソームの位置には転写の調節領域、転写される領域、DNA複製を開始する領域などと関係した特有のパターンが観察された。最近では、ゲノム全体での転写リプログラミング時のヌクレオソーム配置の動的な変化を調べる研究が行われ、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeのゲノム全体でのヌクレオソームの位置変化が明らかにされた。その結果からは、プロモーター領域に局在していたヌクレオソームは、熱ショックなどのストレスに応答して位置が変化することが示唆された。さらに、ヌクレオソームの除去は転写の活性化に、ヌクレオソームの置換は転写の抑制に対応しており、これらはおそらく転写因子の結合部位がアクセスしやすくなったりしにくくなったりするためである。一般的には、プロモーター上の1つか2つのヌクレオソームが再配置されるだけで、こうした転写の変化がもたらされる。しかし、転写変化を伴わない染色体領域でもヌクレオソームの配置変化は観察されており、DNAがヌクレオソームで覆われていたりいなかったり、ということが必ずしも転写と関連した現象を引き起こすわけではないことが示唆された。また、ヌクレオソームのない領域の保護にはHMGBタンパク質が大きな役割を果たしていることが示唆された。
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