転写の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:53 UTC 版)
詳細は「転写調節(英語版)」を参照 転写の調節とは、いつ転写が起こるか、どれだけのRNAがつくられるかの制御である。RNAポリメラーゼによる遺伝子の転写はいくつかのメカニズムによって調節される。 Specificity factor(原核生物の転写におけるσ因子など)は、あるプロモーターまたはプロモーターのセットについてRNAポリメラーゼの特異性を変化させ、結合しやすくまたは結合しにくくする。 リプレッサーは、オペレーターと呼ばれる、プロモーターと近接もしくは重複する配列に結合する。リプレッサーの結合は、RNAポリメラーゼがDNA鎖に沿って進行するのを妨げ、遺伝子の発現を妨げる。右の図は、lacオペロンのリプレッサーによる調節機構を示している。 基本転写因子は、RNAポリメラーゼをタンパク質コーディング領域の開始位置に配置し、その後RNAポリメラーゼを解放してmRNAを転写させる。 アクチベーターは、RNAポリメラーゼと特定のプロモーターの間の相互作用を強化し、遺伝子の発現を促進する。アクチベーターは、RNAポリメラーゼのサブユニットとの直接的な相互作用、またはDNA構造の変化のような間接的な方法で、RNAポリメラーゼのプロモーターへの誘引を強化する。 エンハンサーは、アクチベーターが結合するDNA上の領域であり、アクチベーターはDNAをループさせて特定のプロモーターを転写開始複合体へもたらす。エンハンサーは原核生物よりも真核生物ではるかに一般的であり、原核生物では現在までに数例しか見つかっていない。 サイレンサーは、特定の転写因子が結合したときに遺伝子の発現が抑制されるDNA配列の領域である。
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