rRNAの転写の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 14:41 UTC 版)
「RNAポリメラーゼI」の記事における「rRNAの転写の調節」の解説
細胞成長の速度はタンパク質合成の速度に直接的に依存しており、タンパク質合成速度自体はリボソームの合成とrRNAの転写と複雑に関連している。そのため、細胞内のシグナルによってrRNAの合成とタンパク質の翻訳の他の要素の合成を調整する必要がある。MycはヒトのrDNAに結合してPol Iによる転写を促進することが知られている。rRNAの合成とPol Iによる転写を適切な制御を保証する、2つの機構が同定されている。 1つの機構は、転写可能なrDNA遺伝子は多数(数百個)のコピーに対し、特定の時期に転写される遺伝子の数を調節するものである。哺乳類では、活発なrDNA遺伝子の数は細胞種や分化のレベルによってさまざまである。一般的に、細胞の分化が進行するほど成長は遅くなり、そのためrRNAの合成と転写されるrDNA遺伝子の数は減少する。rRNAの合成が促進されたときには、SL1(英語版)(selectivity factor 1)が不活性なrDNA遺伝子のプロモーターに結合し、Pol Iが結合する転写開始複合体(pre-initiation complex)を呼び寄せてrRNAの転写を開始する。 rRNAの転写の変化は、転写速度の変化によっても起こる。Pol Iの転写速度が上昇する正確な機構は未解明であるが、活発に転写されるrDNA遺伝子の数の変化がなくともrRNA合成が増減することが示されている。
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