連母音の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 06:14 UTC 版)
aiおよびaeという連母音がaとeの中間の母音を伸ばしたもの(æː)、またはæɘに転じることがある。例えば、「…じゃない」という表現は「…だねぁ」または「…じゃねぁ」となる。よく便宜的に「にゃあ」と表記されるが、共通語の拗音とは異なる音である。また、変化するのは母音だけで子音は変化しない。例えば「とろくさい」が「とろくせぁ」となった場合、子音はʃにはならずsのままである。この連母音変化は愛知県尾張の平野部から岐阜県美濃地方にかけての地域で起こる。 また、oiという連母音はオェ(øːまたはöː)に、uiという連母音ははウィ(yːまたはüː)に変化することがある。前述のエァを加えると、名古屋市付近一帯は全国一の8母音をもつ地域である。 瀬戸市付近では、以上とは異なった連母音変化が起こる。瀬戸市から岐阜県の多治見市・瑞浪市付近では、「赤い」→「あかあ」など、aiがaːに変化し、uiはuːに、oiはoːに変化する。瀬戸市と名古屋市の中間に位置する長久手市や尾張旭市では、名古屋式と瀬戸式の発音が混在する。 なお、これらの連母音融合は、いずれも丁寧な発音では元のai、ui、oiに戻るものである。 この項目では伝統的な名古屋弁を描写する観点から記述しているが、実際にはこの母音の変化は若年層の自然な会話からはほぼ失われている。高齢層においても日常的な語彙に限られ、耳慣れない語は共通語式に発音される。したがって、メディアにおけるイメージのように「カベライト」を「カベレァト」のように商品名を名古屋弁式に発音することは現実にはほとんど無い。エビフライは日常的な語彙だが、名古屋弁のステレオタイプとして有名になりすぎたためエビフレァとの発音は避ける傾向にある。
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