造血幹細胞移植の適応判断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 13:51 UTC 版)
「造血幹細胞移植」の記事における「造血幹細胞移植の適応判断」の解説
造血幹細胞移植は、血液疾患の根治が見込める強力な治療であるが、強力であるがゆえに患者の負担も大きく、治療毒性により逆に患者の命を縮める事態を招くことも少なくない。そのため、患者のリスク状態と予後予測を客観的に評価し、造血幹細胞移植を行うべきか否かの判断を体系化しようとする試みが続けられてきた。これを層別化(Stratification)という。 伝統的には、原病の染色体異常、FAB分類、治療反応性などを元に判断しようとする試みが行われてきた。その後、遺伝子解析技術の発達により原病の遺伝子変異の解析が進み、これを元により精緻な層別化を提言する研究が現れた。その中では、これまで予後不良(移植が必ず必要)と考えられていた遺伝子変異型が予後良好(移植不要)と分類されるなど、学会に大きな波紋を生じたものもあった。 しかし、欧米を中心に進められたこれらの研究の成果は、日本では承認されていない遺伝子検査が必要であったり、寛解導入療法において日本では未承認の分子標的薬を投与することが前提とされていたりするなど、ドラッグラグにより日本の臨床においては未だに取り入れることが不可能であることが多い。これにより、日本においては否応なく第一寛解期において造血幹細胞移植を第一選択とせざるを得ないケースが未だに多い。
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