通信システムの概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/18 01:03 UTC 版)
当時、アメリカ陸軍はACAN(Army Command and Administrative Network)という短波無線の海外長距離通信網を運用していた。これは主にラジオテレタイプ(印刷電信機)が用いられていた通信システムで、メリーランド州フォート・デトリックを起点に、38カ所の中継拠点によってアメリカ本土とヨーロッパ、アジア・太平洋、中米、東アフリカの各地域が結ばれていた。世界各地に設けられた中継拠点は、マイクロウェーブ通信回線やケーブル通信回線によって連結された送信所、受信所、中継局の3つの施設が一組となって構成されており、短波無線で受信したテレタイプメッセージの電気信号を受信所が中継局へ送ると、中継局はテレタイプ信号を半鑽孔テープに記録して受け取り、これをオペレーターが複数のテレタイプ回線へ宛先別にメッセージを振り分ける装置にセットして信号を送信所へ送ると、送信所は中継局から送られてきた信号を海外の中継拠点へ向けて再び短波無線で送信するという仕組み(テープ中継)で機能していた。 柏無線送信所は中央工業地区(FAC 3139、埼玉県和光市)に設置されていた中継局や、大和田無線受信所(埼玉県新座市)とともに、日本におけるACANの中継拠点(一次中継局: Primary Relay Station, RUAP Tokyo)を構成することになり、中央工業地区からマイクロウェーブ通信回線を経て送られてきたテレタイプ信号を、通信局舎内の送信機から架線で接続されていたロンビックアンテナを使って、アンカレッジ、シアトル、サンフランシスコ、ハワイ、沖縄、マニラ、サイゴン、ソウル、釜山のアメリカ軍通信施設へ向けて短波で送信していた。また、この他にも「VIPサーキット」と呼ばれていた専用回線を使って、航空機で移動中の軍司令官などにも情報を送信していた。なお、柏無線送信所と中央工業地区の中継局との間はマイクロウェーブ通信回線のみによって接続されていたことから、予備のため、アメリカ極東軍(FEC)の司令部が置かれていたパーシング・ハイツ(FAC 3001、東京都新宿区)との間にもマイクロウェーブ通信の直通回線が設けられていた。
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