逆ユートピア(ディストピア)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 19:43 UTC 版)
「ユートピア」の記事における「逆ユートピア(ディストピア)」の解説
20世紀に入ると、「理想郷」と宣伝されていた社会主義国家や独裁国家が現実の存在となったが、その理想と現実の落差を批判したり、科学の負の側面を強調した小説が描かれた。転倒したユートピア文学であることからこれらは逆ユートピア(ディストピア)と呼ばれる。たとえばH・G・ウェルズの『モダン・ユートピア(英語版)』(1905年)、エヴゲーニイ・ザミャーチンの『われら』(1924年)、オルダス・ハックスレーの『すばらしい新世界』(1932年)、ジョージ・オーウェルの『1984年』(1949年)や、エルンスト・ユンガーの『ヘリオーポリス』、レイ・ブラッドベリの『華氏451度』、星新一の『白い服の男』などの小説によって管理社会、全体主義体制の恐怖が描かれた。また、手塚治虫の『火の鳥未来編』は『1984年』を粉本にしているとみられている。これらに描かれた国家は、一見すると平和で秩序正しい理想的な社会であるが、徹底的な管理により人間の自由が奪われている。当時の共産圏や今日の管理社会に対する予見であり、痛烈な批判である。またそれを生み出した過去のユートピア思想や、その背景となった文明自体も攻撃対象である。
※この「逆ユートピア(ディストピア)」の解説は、「ユートピア」の解説の一部です。
「逆ユートピア(ディストピア)」を含む「ユートピア」の記事については、「ユートピア」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書から逆ユートピアを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 逆ユートピアのページへのリンク