超ウラン核種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 22:22 UTC 版)
「トリウム燃料サイクル」の記事における「超ウラン核種」の解説
核分裂性を持つ核種であっても、中性子に衝突されて全て核分裂する訳ではなく、そのままより重い核種となるものがある。この様にして生成される超ウラン核種は高レベル放射性廃棄物となりうる。 ウラン233が中性子を吸収したまま分裂しなかった場合、半減期20万年のウラン234 234U に変わりロスとなるが、熱中性子による核分裂の場合で確率は約8%と低い。よって、吸収と核分裂の比は約1:10ということになり、これはウラン235 235U の約1:6や、プルトニウム239 239Pu の約1:2、プルトニウム241 241Pu の約1:4より効率がよく、ウラン-プルトニウム燃料サイクルより超ウラン核種(長寿命のものが多い)発生量が少ない。 230Th → 231Th ← 232Th → 233Th (白のアクチノイド: 半減期<27日) ↓ ↓ 231Pa → 232Pa ← 233Pa → 234Pa (色付き: 半減期>68年) ↑ ↓ ↓ ↓ 231U ← 232U ↔ 233U ↔ 234U ↔ 235U ↔ 236U → 237U ↓ ↓ ↓ ↓ (半減期<90年 または 半減期>200,000年の核分裂生成物) 237Np 少ないとは言っても 234U は半減期が長いため、炉内でさらに中性子を吸収し 235U に変わる。これは核分裂性が強いが、前述の通り分裂しない確率の方が高く、さらなる中性子吸収で236Uとなり、吸収とベータ崩壊を繰り返して237Np、238Pu、239Pu、240Pu、241Pu、241Am、242Puと、有害なプルトニウムの同位体を生成する。237Npは半減期214万年と比較的安定で、再処理で除去(違う元素なので分離可能)できる。アメリシウムやキュリウムについても同様で、廃棄するほか原子炉に戻して核変換によるリサイクルを図ることも可能である。 トリウム燃料サイクル特有の問題として、入射中性子のエネルギーが高いと発生する(n,2n)反応(232Thが高速中性子1個を吸収して熱中性子2個を放出し、231Thとなる)からベータ崩壊で生成されるプロトアクチニウム231(231Pa)がある。これは超ウラン元素ではないが半減期が 3.27×104年と長く、高レベル放射性廃棄物の管理必要年数を長期化させる。
※この「超ウラン核種」の解説は、「トリウム燃料サイクル」の解説の一部です。
「超ウラン核種」を含む「トリウム燃料サイクル」の記事については、「トリウム燃料サイクル」の概要を参照ください。
- 超ウラン核種のページへのリンク