走査型電子顕微鏡におけるカソードルミネッセンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/01 03:32 UTC 版)
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このような装置では、焦点を合わせられた電子線が試料に入射し、放射された光を楕円鏡などの光学系で集める。そこから、光ファイバーにより顕微鏡の外にまで光は導かれ、モノクロメータによって波長毎に分離され、その上で光電子増倍管により検出される。顕微鏡の電子線を X-Y パターンに沿って走査し、各点からの放射光を調べることにより試料の光学活性マップを得ることができる(カソードルミネッセンス撮像)。そうではなく、固定された点もしくは領域からの放射光の波長依存性を計測して、スペクトル特性を記録することもできる(カソードルミネッセンス分光)。さらには、光電子増倍管の代わりにCCDカメラを用いることによりマップの各点についてスペクトル全体を得ることができる(ハイパースペクトル撮像)。その上、光学特性は電子顕微鏡の観測対象の構造特性と相関させることができる。 電子顕微鏡ベースの技術の第一の長所は空間分解能である。走査型電子顕微鏡では、数十ナノメートルオーダーの分解能が達成可能である一方、(走査)透過型電子顕微鏡ではナノメートルサイズの特徴を見分けることができる。加えて、ビームブランカーやパルス電子源を用いて電子線をナノ秒・ピコ秒パルスに「ぶつ切り」にすればナノ秒からピコ秒領域の時間分解能をもつ計測を行うことができる。このような先進的手法は量子井戸や量子ドットなどの低次元半導体構造を調査する際に有用である。 カソードルミネッセンス検出器を備えた電子顕微鏡が高い倍率を与える一方で、光学カソードルミネッセンス顕微鏡(英語版)は接眼鏡から直接可視光による像を見ることができるという利点がある。より最近開発された系では両者の利点を同時に得るため、光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を組込むことを試みている。
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