賭博者破産の法則
【英】: law of gambler's ruin
これはギャンブル・ビジネスでは古くから知られる基本的法則といわれるが、1960 年代以来石油探鉱の経済学の教科書でも解説されるようになった。それは、成功の確率の小さいリスク投資に挑むにはロングランに期待しないと、短期では不成功の連続によって破産してしまう確率がかなり存在するということを数学的に示したものである。成功確率が p である試行を n 回繰り返したときに i 回成功する確率は二項分布として知られる関数で計算されるが、例えば p=0.2 であるような試掘を 5 回行ったときに 1 回も成功しない確率は 32.8 %もある。1 回も成功しない確率を 10 %未満にするには 11 回以上、1 %未満にしたければ 21 回の繰り返し試行が必要という計算になる。この法則は、石油探鉱業において不可避的な不運の連続を乗り切って生き残るためには多数の試掘を続けるに十分な資金と意志とを持つことが肝要であることを教えるとともに、限られた資金で生き残るためにはリスク分散の戦略が必要なことを示唆している。なお最近の教科書では、ある地域内で順次行われる試掘の成功確率は互いに独立な事象ではなく、シリーズをなして従属的な確率として考えるべきであると説く。例えば 20 の試掘対象があって、そのなかで商業的油田は 20 %すなわち 4 個と考えられる地域で 5 坑の試掘をしていずれも不成功に終わる確率は、16/20 × 15/19 × 14/18 × 13/17 × 12/16 = 0.282 であるというわけである。この場合、10 坑続けて試掘をしてそのいずれもが不成功に終わるという確率は 0.043 と格段に小さくなる。 |

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