議論のある肖像画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/20 14:04 UTC 版)
「フランセス・ブランドン」の記事における「議論のある肖像画」の解説
様々な肖像画や人物スケッチが、美術専門家たちの間で、その肖像を誰と同定すべきなのかで意見が一致しないものも存在する。そうした作品は、あまりにもその肖像に関するヒントが少ないために、説得力ある人物同定が不可能な場合が多い。ハンス・ホルバイン (子) の作品のうち、肖像画の下絵として描かれたスケッチ2点が、フランセス・ブランドンの肖像として描かれた可能性があるとされている。両方とも描かれて時間が経過してから、人物を示すための銘文が付け加えられている。数点の史料の主張するところでは、人物同定のための銘を付け加えたのは、フランセスの同時代人でエドワード6世の家庭教師を務めた学者ジョン・チーク(英語版)だったとされる。また別の史料によれば、銘が付け加えられたのは18世紀初頭のことだったとされ、意見が一致していない。 銘文が正しいとする観点に立てば、「ドーセット侯爵夫人(The Marchioness of Dorset)」と銘のついたスケッチは、フランセスか、あるいはフランセスの最初の夫の母であるマーガレット・ウォットン(英語版)を描いた作品ということになる。スケッチの制作年が不明な上に、嫁と姑の関係にあたる2人の女性はどちらもドーセット侯爵夫人の称号で呼ばれたので、このスケッチがどちらを描いたのかはっきりしない。 「サフォーク公爵夫人(Duchess of Suffolk)」の銘を持つスケッチもまた同じような問題を抱えている。このスケッチは大抵の場合、フランセスの父チャールズ・ブランドンの4番目の妻となったキャサリン・ウィロビー(英語版)として紹介される。彼女はブランドンと死別した後もサフォーク公爵夫人の称号で知られていた。ところがフランセスも1551年に夫の受爵に伴って公式にサフォーク公爵夫人と呼ばれるようになったので、銘文が示す人物はフランセスだとも解釈できるのである。こちらも先ほどと同様に制作年が不明な上に、同時代に同じ称号で呼ばれた女性が複数存在するせいで、同定が困難である。 「ドーセット侯爵夫人」、ハンス・ホルバイン(子)の素描。 「サフォーク公爵夫人」、ハンス・ホルバイン(子)の素描。
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