警察官への報告義務・現場待機命令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 06:35 UTC 版)
「ひき逃げ」の記事における「警察官への報告義務・現場待機命令」の解説
道路交通法第72条第1項後段に「交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。」と規定されており、警察官への報告義務が規定されている。 なお、報告義務の主体は第一義的には運転者であり、「乗務員」は運転者が死傷などにより報告が困難な場合にのみ、運転者に代わり義務を負う。警察官への報告義務違反は、3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金(同法119条10号)となる。単なる同乗者や現場に居合わせた者にはこの義務はない。 また、同法第72条第2項に「警察官が現場に到着するまで現場を去つてはならない旨を命ずることができる。」とあり、警察官が事故の報告をした運転者等に対して現場待機命令を出すことがある(通常は出される)。 現場待機命令の義務主体は、前述の報告義務の主体と同様である。現場待機命令に違反した者は5万円以下の罰金(同法120条11号の2)となる。 報告義務・現場待機命令ともに、憲法の自己負罪拒否特権に反するものではないと言う判例がある(大阪高裁昭和34年11月25日)。 なお、第72条第1項後段および同条第2項の規定は、電話などの隔地間の通信手段の存在を前提にしている。 罪数論としては、72条1項前段の救護義務違反の罪と報告義務違反の罪(72条1項後段)の関係につき、併合罪の関係に立つとするのが従来の判例・多数説であったが、最高裁昭和51年9月22日大法廷判決は、自然的観察のもとでは「ひき逃げ」という1個の行為であるとして、従来の判例を変更し、両者は観念的競合に当たるとした。
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