諸問題に対する見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)
アウグスティヌスは、「神の国」の発展と並行する「地上の国」の歴史も叙述し、ふたつの国を相関させることで、普遍史を体系化した。彼は基本的にエウセビオスの四世界帝国論を踏襲しつつ、第一帝国アッシリアと第四帝国ローマをことさら重視する論を展開した。歴史の段階がアブラハムの登場によって成年期に進んだ時と同じく「地上の国」もアッシリアが成立し、キリスト生誕によって老年期に至った時もアウグストゥスによるローマ帝国が建国される。これら出来事の同時発生こそが、神の計画を証明すると主張した。第二・第三帝国についてアウグスティヌスは、それぞれメディアを含めたペルシアと、マケドニアを充てているが、これらは重視するふたつの帝国の仲立ちをした、付加物のようなものと述べている(18章-2)。このようにアウグスティヌスはエウセビオスと同様に聖書の記述内容を読み替えてカルデア(新バビロニア)を無視する解釈を行った。 エジプトの古さの問題についても、アウグスティヌスは明瞭な回答を用意していない。しかし、エウセビオスの『年代記』「カノン」において普遍史の枠内に収められていたギリシア神話に登場するアルゴス王イーナコスの娘イーオーがエジプトに渡り、神イシスとなったという記述を持ち出して、エジプト神話が実際は新しい時代の人物を神格化したものだと主張して、普遍史との整合性を持たせた。
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