解空間の滑らかさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:21 UTC 版)
「横断性 (数学)」の記事における「解空間の滑らかさ」の解説
(写像の横断性の特別の場合を仮定する)サードの定理を用いて、空間の部分多様体で相補的な次元を持つものの間の、あるいは部分多様体および空間への射の間の横断交叉の全体は、それ自身滑らかな部分多様体となることが示せる。 例えば、向き付けられた多様体の接束の滑らかな切断(英語版)(すなわちベクトル場)を底空間から全空間への射と見たものと零切断(を射または部分多様体と見たもの)は横断的に交わるから、この切断の零点集合(つまりこのベクトル場の特異点集合)は底空間の滑らかな零次元部分多様体(つまり符号付き点集合)を成す。その符号はベクトル場の指数に一致し、従って符号和(つまり零点集合の基本類)は多様体のオイラー標数に等しい。より一般に、向き付けられた滑らかな有限次元閉多様体上のベクトル束に対して、零切断を横断する切断のゼロ点集合は、そのベクトル束の階数に等しい余次元を持つ底空間の部分多様体になり、そのホモロジー類はもとのベクトル束のオイラー類にポワンカレ双対である。 以下はその極めて特別の場合である: 実変数実数値の可微分函数がその零点において零でない微分係数を持つならば、その零点は単純である(すなわち、函数のグラフはその零点において x-軸を横断する)。微分係数が零であることは曲線に水平に接することを意味するのだから、そのような場合には接空間は x-軸に一致することになる。 無限次元の例として以下を挙げる: ∂-作用素はリーマン面から概複素多様体への射の空間上で定義される、ある種のバナッハ空間束の切断で、この切断の零点集合は正則射からなる。この∂-作用素が零切断を横断することが示せるならば、そのモジュライ空間は滑らかな多様体を成す。これらの考察は、擬正則曲線(英語版)論およびグロモフ–ウィッテン理論において基本的な役割を果たす。(この例における横断性は、バナッハ空間を対象にするために、定義を精緻化する必要があることに注意。)
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