覚醒の準備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:58 UTC 版)
麻酔覚醒により疼痛や低体温などに対する血圧上昇、身震いなどによる体温調整を行う生理現象(シバリング)などの生体反応が顕在化してくる。覚醒させる前に、体温、疼痛管理、呼吸循環状態などが覚醒可能な状態に安定しているかどうかを評価する必要がある。全身麻酔中、体温の保持を積極的に努めないと次第に低下し続ける。それを防ぐために、手術終了に向けて通常の体温保持に加え、室温を上昇させ、さらなる体温上昇を目指す。 吸入麻酔 吸入麻酔からの覚醒は、導入時の逆順序で、麻酔回路内の吸入麻酔薬供給量を0%にすることで、肺胞内の吸入麻酔薬分圧を血液中より低下させ、血液中、そして脳内から肺胞内への吸入麻酔薬排泄を促進する。脳内の吸入麻酔薬分圧が覚醒レベルに至れば自然に覚醒する。 静脈麻酔 全身麻酔維持に用いられる静脈麻酔薬は、おもにプロポフォールである。手術終了に合わせて、BIS値を参考にしながら投与量の加減を調節する。 筋弛緩薬 かつては非脱分極性筋弛緩薬を麻酔科医の経験則に基づいて使用していた。覚醒時には、始発呼吸の出現を待って拮抗薬を使用する方法が一般的であった。しかしこの方法では、筋弛緩状態からの回復が不十分である可能性がある。神経刺激装置は、比較的安価で、それを用いて客観的に筋弛緩からの回復を確認して麻酔覚醒をはかることが望まれる。 予想される濃度や時間を超えて意識や反応が回復しない状態を覚醒遅延という。
※この「覚醒の準備」の解説は、「全身麻酔」の解説の一部です。
「覚醒の準備」を含む「全身麻酔」の記事については、「全身麻酔」の概要を参照ください。
- 覚醒の準備のページへのリンク