規則の意義・背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 09:02 UTC 版)
「インフィールドフライ」の記事における「規則の意義・背景」の解説
「フェアの飛球を打ち上げた時点でその打者はアウトになる」という特性から、一見すると攻撃側に対して不利に働くようにも見えるこの規則であるが、実際は攻撃側が受ける不当な不利益を除外するために定められた規則である。 例えば、一死一・二塁で内野に飛球が飛んだとき、2人の走者は飛球が捕らえられた際の帰塁(リタッチ)に備え安易に離塁することができない。その一方で、この飛球が捕球されなかった場合はフォースの状態にある2人の走者には進塁の義務が生じてしまう。2つのルール間で板挟みとなった走者に対し、野手はあえて打球を直接捕球せずにすばやくボールを拾って三塁へ送球、続けて二塁へと送球することでこれを併殺とすることが可能となる。すなわち、フォースの状態にある走者が2人以上いる場合、野手は意図的に捕球しないことで正規に捕球するより多くのアウトを取ることができてしまうこととなり、攻撃側に一方的な不利益が生じるのである。 これを受け、打球が上がった時点で打者をアウトと見なすことで「飛球が捕球されなかった場合でも走者に対して進塁の義務を発生させない」ことを趣旨とする規則としてインフィールドフライが制定されるに至った。インフィールドフライはこのように、「リタッチの義務」と「フォースの状態による進塁の義務」という相反する2つのルールを悪用した守備側が、飛球が滞空中に元の塁から動けずにいる走者をまとめて併殺にとろうと企てることを防止するために設けられたものなのである。 したがって、以下の場合は、インフィールドフライのルールが適用されない。 二死 守備側が飛球を捕球すれば三死で攻守交代であり、意図的に捕球しないことによる守備側の利益も攻撃側の不利益もない。 無死または一死で、走者二塁、走者三塁または走者二・三塁 フォースの状態の走者がいないので、たとえ野手が落球しても、フォースプレイを悪用した併殺は起こらない。 無死または一死で、走者一塁または一・三塁 野手が落球しても、フォースの状態にある走者は一塁走者だけであるから、打者走者が一塁への全力の走塁を怠らない限りはフォースの状態を悪用した併殺が起こることはない(一塁走者が二塁フォースアウトになっても、アウトカウントが1つ増えて打者走者が一塁走者と入れ替わるだけである)。 ライナーの打球、またはバントによる飛球 インフィールドフライの規則本文で、適用から除外することが明記されている。 アメリカでこのルールが制定されたのは1895年のことであり、当初は一死の場合のみ適用された。1901年に無死の場合でも適用されるよう改正された後、1904年にはライナーが、1920年にはバント飛球がそれぞれ適用除外となった。
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