規則の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 02:50 UTC 版)
一塁走者はフォースの状態にあるため、飛球が捕らえられた場合にはリタッチの義務が生じるが、飛球が捕らえられなかった場合には進塁義務が生じる。そのため、リタッチの義務とフォースの状態による進塁の義務という相反する2つのルールを悪用して、野手が故意に飛球を落下させたのち、二塁、一塁と送球することでフォースプレイでの併殺を狙おうとする行為が考えられる。 例えば一死一塁の状態で遊撃手の正面に、容易に捕球できそうなライナーが飛んだ場合、走者は捕球に備えて安易に離塁することができず、一塁付近にとどまらざるを得ない。しかし、遊撃手がこのライナーをわざと落とせば、一塁付近にとどまっている一塁走者に進塁義務を発生させることができ、すぐに拾って二塁、一塁と送球すれば、まとめてアウトにすることが可能となる。すなわち、通常の守備行為を行えば打者走者1人だけのアウトであるものを、故意に落球することで余分にアウトを取ることができてしまい、攻撃側に不利益が生じる。故意落球の規則はこのような行為を締め出すために存在する。 しかし、外野に守備位置をとっている野手が処理する飛球やライナーに対しては「故意落球」や「インフィールドフライ」の規則は適用されないので、次のような例外的なプレイも現出する。 無死または一死で走者一・二塁のとき、打者が中堅方向へ浅い飛球(またはライナー)を打つ。走者はハーフウェーで見守るが、落下点は二塁のすぐ近くであるから二塁走者はさほど離塁できない。 中堅手は落球し、すぐに球を拾い上げて二塁へ送球し一塁走者をフォースアウトにする。 二塁走者は中堅手が落球した時点ではフォースの状態から解かれていないため、慌てて三塁へ走るが、二塁での離塁が少ないので二・三塁間でランダウンプレイ(挟殺プレイ)でアウトにされ、結果併殺される。
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