褐色矮星まわりの惑星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 19:13 UTC 版)
木星を超える質量を持つ天体である 2M1207b と 2MASS J04414489+2301513(英語版) は、主星の褐色矮星の周りを大きな軌道間隔で公転している。このような比較的重く遠方を公転している天体は、降着起源ではなく分子雲の重力収縮から形成されたと考えられ、惑星というよりは準褐色矮星に属するものだと考えられる。ChaHα8 という褐色矮星を公転する低質量の伴星が視線速度法を用いて初めて発見されたことにより、数天文単位やそれよりも小さい距離で褐色矮星を公転する惑星を検出する道が開かれた。しかし ChaHα8 の主星と伴星の質量比はおよそ0.3であり、この系もどちらかと言うと連星系に類似している。その後2013年に、褐色矮星を比較的小さい軌道距離で公転する初めての惑星質量天体 OGLE-2012-BLG-0358Lb が発見された。2015年には、褐色矮星を公転する初めての地球質量程度の惑星 OGLE-2013-BLG-0723LBb が発見された。 褐色矮星の周りの星周円盤は、恒星の周りにある円盤と同じ特徴を多く持っていることが分かっている。そのため、褐色矮星の周囲にも降着によって形成された惑星が存在することが予想される。褐色矮星周りの円盤は質量が小さいため、大部分の惑星はガス惑星ではなく地球型惑星であろうと考えられる。もし巨大惑星が視線方向を横切るように褐色矮星を公転していた場合、これらの天体は直径がおおむね同程度であるため、トランジットによる変光度合いは大きなものになる。褐色矮星周りの惑星に対する降着領域は褐色矮星自身に非常に近いため、潮汐力が強い影響を及ぼすだろうと考えられる。 褐色矮星の周りの円盤は恒星のものと比べて酸素が少なく炭素に富むことが観測から示唆されている。このため、褐色矮星の周りで形成される岩石惑星は、太陽系の岩石惑星と比べて炭素化合物を多く含むかもしれないと考えられている。 2016年の研究では、スピッツァー宇宙望遠鏡による観測結果に基づくと、褐色矮星の周りの惑星を少なくとも1個、95%の信頼度で検出するためには、175個の褐色矮星をモニターする必要があるとの推定が行われている。
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