補遺II「カモメ捕りのダンス」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 05:48 UTC 版)
「フロム・ヘル」の記事における「補遺II「カモメ捕りのダンス」」の解説
本編と異なり、メタ的な観点から描かれた24ページのコミック。大勢の「リッパロロジスト(切り裂きジャック研究家)」が補虫網を振り回してカモメを捕えようとしている象徴的なコマで始まる。「カモメ = gull」は主人公ガルを指すだけでなく、「愚か者、でっち上げ、詐欺師、ミスリード」という意味も込められている。ここで俎上に載せられているのは事件そのものというより「ジャックに映し出された我らのヒステリー」であり、作者のムーア自身も冷笑を免れていない。結末にはリッパロロジストと執筆当時のロンドン再開発がいずれも歴史上の悲劇を搾取していることを風刺するシーンが描かれている。 この作品では、20世紀全体にわたって多数刊行された「切り裂きジャック事件の真相」と称する文献を通覧することで、事件についてただ一つの真実を得るのは不可能だという考えが示されている。史料調査によって新事実を明らかにしようとする試みはフラクタル図形を無限に細密化することに、様々な説が争い合って歴史が形成される様子はダーウィン的闘争に例えられた。
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