衰退のはじまり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 01:22 UTC 版)
「ニューヨーク・セントラル鉄道」の記事における「衰退のはじまり」の解説
ほかのアメリカ合衆国の多くの鉄道会社と同様に、ニューヨーク・セントラル鉄道は、第二次世界大戦が終結すると急速に衰退し始めた。大戦前から鉄道事業に持ち上がっていた、運賃を厳しく規制していた州際通商委員会の過剰規制や、自動車との競争などの問題が再び浮上してきたためである。さらに、1950年代における信頼できる航空機の急速な開発により長距離旅客列車から旅客を奪い始めるという、大いなる脅威がこの問題に加わった。連邦補助高速道路法が1956年に制定されたことにより、自動車にとって便利で効率的な道路網の整備が促進されて、多くの人々が自動車での旅行をするようになり、また鉄道ではなくトラックで貨物を輸送するようになっていった。これに加えて、1959年のセントローレンス海路の開通もニューヨーク・セントラル鉄道の貨物輸送に悪影響を与えた。五大湖沿岸の港へ直接コンテナ輸送できるようになり、かつては収益の上がった東部と中西部を結ぶ鉄道貨物輸送を不要としてしまった。 同時に、ニューヨーク・セントラル鉄道には重い税金の負担があった。連邦政府・州政府・地方政府は、旅客鉄道に必要とされる支援をするどころか、鉄道のインフラストラクチャーを資産税の格好の対象としてしか捉えておらず、こうした税金は州間高速道路に対しては課されないものであった。問題をさらに悪化させることに、鉄道の旅客輸送には第二次世界大戦時の15パーセントの超過税が、戦争が終わってから17年も後の1962年まで課されていた。こうした問題がアメリカ合衆国の鉄道を全体的に弱めていくことになり、ニューヨーク・セントラル鉄道の衰退につながった。
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