表面力装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/06 09:07 UTC 版)
詳細は「表面力装置」を参照 表面力装置(Surface Forces Apparatus、SFA)とは、凝着力、液体や蒸気における毛管力、van der Waals相互作用など、二つの表面の間にはたらく物理的な力を測定する装置である。1969年にこの種の装置が初めて報告されて以来、数々のバージョンが開発されてきた。 SFA 2000はそれまでの表面力装置よりも構成が単純で使いやすくクリーンな機種であり、薄膜、ポリマー、ナノ粒子、多糖類のナノトライボロジー研究に用いられる機器として最先端のものの一つである。 SFA2000のカンチレバーはコイルばねによる機械的な粗動機構と圧電素子による電気的な微動機構を備えており、その運動は7桁におよぶ制御が可能である。極めて微細な制御が行えるため、1 Å以下の位置精度を実現できる。試料は分子レベルで平滑な二枚のマイカ表面にエピタキシャルに成長させられる。 二つの表面が間隔 D で静止したとき、垂直力 Fnormal(D) は次の簡単な関係式によって求められる。 F normal ( D ) = k ( Δ D applied − Δ D measured ) {\displaystyle F_{\text{normal}}(D)=k(\Delta D_{\text{applied}}-\Delta D_{\text{measured}})} ここでは下側の表面がばね定数 k のカンチレバーで支えられていると考える。ΔDapplied は前述のような機構でカンチレバー基部に与えた変位、ΔDmeasured は多重干渉法(MBI)で測定された試料の変位である。これらの差がカンチレバーのたわみに当たる。この過程で ∂ F ( D ) ∂ D > k {\textstyle {\partial F(D) \over \partial D}>k} となれば力学的な不安定性が生じ、下側の表面は自発的に安定な位置まで飛び移る。その変位を ΔDjump として、凝着力は次の式で求められる。 F adhesion = k Δ D jump {\displaystyle F_{\text{adhesion}}=k\Delta D_{\text{jump}}} . W flat ( D ) = F curved ( D ) 2 π R {\displaystyle W_{\text{flat}}(D)={F_{\text{curved}}(D) \over 2\pi R}} ここでは互いに垂直な軸を持つ円筒面が接している場合を考えており、R は円筒の曲率半径、Fcurved(D) は接触面の間にはたらく力を表す。
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