表層上皮性・間質性腫瘍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 21:15 UTC 版)
表層上皮性・間質性腫瘍の発生メカニズムとしては、排卵における卵巣上皮の破綻と再生というプロセスにおいて遺伝子変異と封入嚢胞を形成することが原因と考えられている。リスクファクターとしては排卵数(すなわち不妊治療による排卵誘発はリスクである)、糖尿病、喫煙、動物性脂肪の摂取が考えられている。低用量ピルの使用は血栓症のリスクは上昇させるが、排卵抑制で卵巣がんのリスクは減少させることが有名である。 表層上皮が腫瘍化する際はミュラー管から発生する卵管、子宮の細胞に類似することが多い。卵管に類似する場合は漿液を分泌する漿液性嚢胞腫瘍、子宮頚管腺に類似する場合は粘液を分泌する粘液性嚢胞腫瘍、非妊娠時の子宮内膜に類似する場合は類内膜腫瘍、妊娠時子宮内膜に類似する場合は明細胞腫瘍となる。分化度によって漿液性嚢胞腺腫、漿液性嚢胞腫瘍、漿液性嚢胞腺癌と末語が変化していく。 漿液性嚢胞腺癌の内部形態は多房性から充実性まで様々である。腫瘍径が小さいうちから腹膜播種が起こりやすく、早期に症状が出現するが、早期発見しても進行が速く、予後は極めて悪い。卵巣癌で最も頻度が多いのはこの漿液性嚢胞腺癌である。 粘液性嚢胞腺癌は多房性で隔壁は薄いことが多い。転移しにくく症状も出現しにくいため、発見時は巨大になっていることが多い。進行は極めて遅く、巨大な割には病期が進んでおらず、予後が良好である。 明細胞癌は充実部と嚢胞部が混在している。子宮内膜症との関連が報告されている。化学療法が無効である。日本はピルの普及が低いことから、明細胞癌が多い傾向がある。 類内膜腺癌は充実性であり、予後は良好である。
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