表層構造描写法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 06:49 UTC 版)
表層構造描写法は狭義の隷定である。さらに筆画描写隷定(筆画隷定とも呼ぶ)、文字要素対応隷定(偏旁隷定・表層構字要素描写法とも呼ぶ)、および総合性隷定に分けることができる。 筆画描写隷定は、古漢字を筆画に基づいて現行の漢字の筆法のままに転写し、一筆一画も疎かにしないように努める。文字要素対応隷定は、構造上、区別しうる構字要素をもって、現行漢字における機能が同じ通行の文字要素に対応させる。総合性隷定とは、以上の両方面を総合するものである。これにより同一古文字字形が異なった隷定字形を持つことがある。例えば、小篆のは“𨝥”・“郞”・“郎”・“郒”と隷定されうる。それによって大量の異体字が生み出される。 『説文』小篆と楷書の対比小篆歴時演変隷定転写筆画描写要素対応総合隷定 徒 𨑡 𨑒 寇 寇 𡨥 敖 𢾍 敖 熬 熬 𤏺 𤎅 表層構造描写法の目的は古形を保存することにあり、1つには可能な限り原字形中の情報を留めて、その字形構造の特徴を表現し、2つには古漢字の釈読ができない時に機械的・固定的にその筆画あるいは構成要素に基づいて現行の漢字に転換し、現行書体と協調させる。
※この「表層構造描写法」の解説は、「隷定」の解説の一部です。
「表層構造描写法」を含む「隷定」の記事については、「隷定」の概要を参照ください。
- 表層構造描写法のページへのリンク