表層角膜移植術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 16:47 UTC 版)
円錐角膜においても、内皮細胞数が十分あり、急性水腫の既往が無い症例であれば表層角膜移植術 (epikeratophakia または英語で epikeratoplasty )という名の、全層ではなく特定の層までの角膜移植術が行われることがある。このような術式のうち円錐角膜には特にDALK(deep anterior lamellar keratoplasty)が行われる。角膜上皮と実質を剥離し、代わりにドナーの角膜 lenticule を乗せる。厚さ0.02mm程度の膜を傷つけないように残しつつ、その他の層を手作業で除去する事は技術的難易度が高く、全層角膜移植術より行われることは少ない。しかし成功すれば、患者本人の角膜内皮細胞が残せるため、拒絶反応発生率が低く、より早期に免疫抑制のための投薬を中止できる可能性がある。また全層移植を受けた場合よりも外力に強く、眼球打撲などがあった際に裂けてしまう可能性が低い(鈍的外傷に強い)。特に若年症例においては選択肢に含まれる。術後の視力予後は全層移植のほうがまさるという研究報告も過去にあったが、近年の論文では視力の面で有意差無しとする論文が多い。過去の急性水腫の痕跡がある場合は、表層角膜移植術のような特定の層のみの移植は原則適応とならない。
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