角膜移植
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 16:47 UTC 版)
円錐角膜症例の10-15%がレンズによる矯正が不可能になる。角膜の菲薄化が進み、あるいはレンズ装用に伴う傷自体が問題である。その場合、角膜移植(penetrating keratoplasty、全層角膜移植術、PKP) が必要になる。円錐角膜は全層角膜移植術を必要とする最も一般的な理由で、この手術の約1/4が円錐角膜によるものである。角膜 lenticule 部を冠状切開しドナーの角膜を縫合(連続縫合、単独縫合を組み合わせる)し、移植する。角膜には直接の血管支配がないので、ドナーの血液型をあわせる必要はない。ドナーの角膜に病変や異常な細胞がないことはアイバンクがチェックする。 術後、急性回復期は4-6週間であり、視力が安定するまではしばしば1年以上かかる。しかし、ほとんどの場合移植片は長期にわたり極めてよく定着する。National Keratoconus Foundation によると、全層角膜移植術は移植手術の中で最も成功したものであり、他に疾患のない円錐角膜眼の場合95%以上の成功率である。縫合糸は3-5年で劣化するが、患者の異物感などの愁訴が強ければ、回復期に縫合糸を外す場合もある。 円錐角膜の角膜移植は外来で鎮静剤を用いて行われる(訳注: 日本では日帰りでも行われるが、数日入院させる場合もある。要求される医療水準と医療保険制度が異なるので、一概に優劣を論じることはできない)。術後は何年かにわたって慎重な眼科的フォローアップが必要である。かなりの症例で角膜移植によって視力が大きく改善する。裸眼視力がそれ程でなくても、傷が治れば角膜が正常な形に近付くため、コンタクトレンズのフィッティングが改善するためである。角膜移植後の問題はほとんどが角膜への血管侵入と拒絶反応と感染症に関連している。視力の喪失は極めて稀であるが、矯正困難になる場合はありうる。拒絶反応が激しい場合は、再移植が行われることもしばしばであり、かなりの場合成功する。通常、移植後円錐角膜が再発することはない。そのような症例が報告されてはいるが、それらは通常元の角膜が遺残していたか、ドナー側の組織のスクリーニングがうまくいかなかったかである。ひとたび最初の治癒期及びその後数年間が問題なく過ぎてしまえば、角膜移植の長期予後は通常良好である。
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