薬物排泄
【概要】 体内に入ってきた薬物がそのままの形で、あるいは形を変えて体外に捨てられていくこと。主な経路は尿と胆汁。薬物は肝臓を通過し、全身の循環をめぐり、血管からしみ出して体内に分布し、細胞内に入っていく。分布した血管外の薬物はリンパや血管内に戻り、肝臓や腎臓にもどってくる。 水溶性の薬や水溶性に化学変化を受けた薬は、腎臓の糸球体から濾過されるか尿細管から転送されて尿中に排泄される。尿細管で再吸収されるものもある。あるものは肝細胞内で微小な胆管に排出され、胆汁に溶けて十二指腸に捨てられる。一旦排泄された薬がまた小腸や大腸から再吸収されてグルグル回ることがある(腸肝循環)。どの経路による排泄がどの割合であるか、薬によって全部違っている。
【排泄の問題】 腎臓から排泄されるタイプの薬物は、腎臓機能障害があると血中にたまってしまい異常に高い濃度が持続することがある。腎排泄型の薬なのに尿への溶解性が低いと、あるいは尿量が少なくて濃縮(=酸性が強くなる)されていると、腎臓の中で結晶ができてダムのように尿の流れを留めてしまったり、結石となって尿路の壁を傷つけてしまうことがある(例:クリキシバン)。一方、胆汁に排泄されるタイプの薬物は、肝機能が悪いとか、胆道が炎症、癌、胆石でせきとめられると血中にたまってしまう。このように特に肝臓や腎臓が悪い患者での薬物療法は、非常に注意を払わなければいけない。
《参照》 薬物動態
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