薬物乱用と廃人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 16:38 UTC 版)
各々の薬物やアルコール中毒者には若干ながらも同情すべき余地があったり、または健全な環境に受け容れることで依存度を低下させられる余地がある。またアルコール中毒になりやすい要因としては孤独やストレスが挙げられ、依存の改善にはまず孤独感の解消が奨められている。 覚醒剤や麻薬といった薬物乱用でもこの辺りの事情は深刻で、人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナル日本が2003年11月に行ったシンポジウムでは、薬物依存元受刑者(刑期を終えて出所した人)らが、日本国内で過去に薬物乱用を行った者(刑事的には刑期を終えているとしても)に対しての偏見が強く、健全な社会復帰を阻んでいる要因にもなっていると述べている。 日本では薬物乱用を行った者には罰則を与え、刑務所内で薬物乱用を行わないよう教育を行っているが、この教育は通り一遍の「薬物乱用はこんなに恐ろしい副作用がある」といった内容のビデオを見せ、感想文を書かせるが、「余計に薬物のことを思い出してしまう」という意見もあり、先に挙げたシンポジウム出席者は「薬物乱用をしてしまう者の心情(苦しみ)がまるで理解されていない」と、むしろ疎外感すら抱き、結果的に刑務所内で同じ薬物乱用で受刑中の者達が親近感を持つようになり、出所後にこの人脈から、薬物乱用への誘惑が絶ち難くなっている悪循環の傾向があることを述べている。 麻薬への依存が日本の覚醒剤問題以上に深刻な社会問題となっている欧米では、薬物依存カウンセリングが盛んで、薬物依存からの脱却を希望する者同士がカウンセラーを交えて各々の悩みを打ち明けながら助け合う集団カウンセリングも行われている。日本でも同種の取り組みが始まっている。
※この「薬物乱用と廃人」の解説は、「廃人」の解説の一部です。
「薬物乱用と廃人」を含む「廃人」の記事については、「廃人」の概要を参照ください。
- 薬物乱用と廃人のページへのリンク