荒木田麗女とは? わかりやすく解説

あらきだ‐れいじょ〔‐レイヂヨ〕【荒木田麗女】

読み方:あらきだれいじょ

[1732〜1806]江戸後期女流文学者。伊勢の人。本名、隆。号は紫山。著に歴史物語池の藻屑(もくず)」「月の行方(ゆくえ)」など。


荒木田麗女

読み方あらきだ れいじょ

江戸後期物語作者伊勢山田祠官釜谷氏の女。伯父荒木田氏養われる。名は隆・麗、字は子奇、号は紫山・清渚。江村北海作詩を、西山里村昌迪に連歌を学ぶ。徳川時代異数女流文学者である。文化3年(1806)歿、75才。

荒木田麗女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/13 01:00 UTC 版)

荒木田 麗女(あらきだ れいじょ、享保17年3月10日1732年4月4日)- 文化3年1月12日1806年3月1日))は、江戸時代中期の女流文学者[1]。初名は隆(りう)[1][2]で、のち麗[3](麗女[1][2])と改めた。字は子奇[3]。号は紫山、清渚[3]

経歴

実父は伊勢神宮内宮の荒木田武遠(たけとお)で[2]、13歳で叔父の外宮御師である荒木田武遇(たけとも)の養女となった[2][4]。17歳から連歌を西山昌林(しょうりん)に学び[2]、のち花の下昌廸(はなのもとしょうてき)にも師事して連歌に精進した[2][3]。22歳(あるいは23歳)で慶徳家雅(けいとくいえただ[3]、慶滋家雅とも[2])に嫁した。彼女の旺盛な創作活動は、好学な夫の理解と援助によるところが少なくない[2][3]。『宇津保物語』の研究を発端に物語制作を始め[2][3]、その著作年代は39歳から51歳頃にかけてにあたる[3]。夫の死後は、連歌の第一人者として豊宮崎文庫の連歌会と自邸での月次回(つきなみかい)を指導した[2]。最終的に彼女の著作は歴史物語、紀行文、文集、句集、随筆など約400巻にのぼり、非常に多作であった[2][3]。山田八日市場の自邸にて75歳で没した[2]。墓所は伊勢市浦口町旦過の一名天神山の上にある[2]。法名は宝寿院霊雲浄光大姉[3]

彼女は幼少より学を好み[5]、長じては和歌・連歌をものにし[5]、また多くの古典を渉猟し[2][3]漢詩・国史にも通暁して[5]、その学殖は著した歴史物語の流麗な擬古文によく現われている[2][3]。彼女の物語作品は、多くが平安貴族の世界を舞台とし、平安文学の亜流と位置付けられる[2][3]

代表作には次のようなものがある[3][5]

  • 月のゆくへ』 - 承安年間から寿永年間までの歴史書。2巻。
  • 『池の藻屑』 - 元弘3年から慶長8年までの記事を記す仮名歴史書であり、『増鏡』の続編ともいえるもの[5]。明和8年作、14巻。
  • 『藤の岩屋』 - 『遊仙窟』の翻案小説[5]
  • 『野中の清水』 - 本居宣長はこれを目にして添削批評を加えたが、彼女は反駁して応じなかった[5]
  • 『桐の葉』(桐葉) - 物語[3]
  • 『初午の日記』 - 紀行文[3]

刊本

  • 『女流文学全集 4巻』古谷知新編 文芸書院 1918 近代文芸叢書
  • 『日本文学大系 校註 第12巻』池の藻屑 野村宗朔校註 国民図書 1926
  • 『江戸時代女流文学全集』古谷知新編 日本図書センター 1979
  • 『荒木田麗女物語集成』伊豆野タツ編 桜楓社 1982
  • 『怪世談』石村雍子解説 しののめ書房 1992 朝霧叢書

脚注

  1. ^ a b c 『江戸時代人物控1000』山本博文監修、小学館、2007年、19頁。ISBN 978-4-09-626607-6 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 日本大百科全書』 第1巻(第2版)、小学館、1994年、p.691頁。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 国史大辞典編集委員会『国史大辞典』 第1巻、吉川弘文館、1986年、p.334頁。 
  4. ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 59頁。
  5. ^ a b c d e f g 加藤周一(編) 編『世界大百科事典』 第1巻(改訂新版)、平凡社、2007年、pp.540-541頁。ISBN 978-4582027006 



荒木田麗女と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「荒木田麗女」の関連用語







7
月の行方 デジタル大辞泉
100% |||||

8
荒木田 デジタル大辞泉
100% |||||


10
32% |||||

荒木田麗女のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



荒木田麗女のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
株式会社思文閣株式会社思文閣
Copyright(c)2025 SHIBUNKAKU Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの荒木田麗女 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS