花粉媒介について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 06:01 UTC 版)
このランの唇弁は上記のようにキノコの傘の裏面に似たところがある。また、花弁が茶褐色系であり、時にキノコに似た匂いを発する。そのため、この花がキノコに擬態しており、腐植食性、あるいはキノコ食性の昆虫を誘引して、それらによって花粉媒介が行われるのではないかとの考えが1960年代から示唆されてきた。さらに菌食性の小型ハエ類がこの花に産卵しようとする際に、その背中に花粉塊を付着させるのだとの仮説も唱えられたことがある。 これに対し、エクアドルで D. lafleurii と D. felix を観察した結果、これらの花に訪れる昆虫の大部分がショウジョウバエ科のZygothrica 属の複数種であり、他にショウジョウバエ属のものなども少数ながら訪れ、それらの大部分は菌食性であり、特に白いキノコに集まるものであることが知られている。ハエは一つの花に一時間以上も滞在し、その花を防衛したり、その花被上などで羽を振動させたりといった独特の行動を互いに示し合う。これはこのハエがキノコの上で示す行動に似ている。ハエは交尾に至ることもあり、ただし産卵はしなかった。その過程でハエは唇弁の上の襞に導かれて髄柱の下に入り込み、この時に胸部背面に花粉塊が付着した。
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