花が美しいわけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 00:12 UTC 版)
花は人目を引く魅力がある。一般的な概念の花は、それ以外の部分が緑などの地味な中にあって、それとは対照的に鮮やかな色合いの花弁などを並べてよく目立つようになっている。これは、そもそも花の存在が、他者の目を引くことを目的としているからである。ただし、本来はヒトの目ではなく、昆虫や鳥などの目を引くためのものである。顕著な例としてミツバチの可視領域は紫外線を含み、ミツバチの目で花を見ると蜜のある中央部が白く反射する花がある事などが知られる。これは、植物が固着性の生活様式を持つため、繁殖時の生殖細胞、具体的には花粉の輸送に他者の力を借りなければならないためである。被子植物の多くがその対象を昆虫や鳥などの小動物とし、彼らを誘うために美しい花びらで飾られた花の構造が発達した。また同じ目的で、虫媒花の多くは強い香りを持つ。その香りは媒介者の好みの香りであるため、人間にとって素晴らしい香りとは限らない。また鳥は嗅覚が弱いため、鳥媒花の多くは強い香りを持たない。 他方、無生物によって花粉を運搬する植物の花は目立つ必要がないため、花の色は地味なもので香りも弱い。現生の裸子植物は一部の例外を除くほとんど全てが風媒なので、花弁などを持たない。被子植物でもイグサ科やイネ科などは虫媒花から進化して二次的に風媒となったもので、イグサ科では花弁はあるが極めて地味になっており、イネ科では花弁は完全に退化し、開花時にも全く目立たない。
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