臭化フェニルマグネシウム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/05 03:53 UTC 版)
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エーテルとの錯体
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ジエチルエーテルとの錯体
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PhMgBr-ジエチルエーテル付加物の空間充填モデル
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| 物質名 | |
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Bromido(phenyl)magnesium |
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別名
PMB, (bromomagnesio)benzene [要出典] |
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| 識別情報 | |
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3D model (JSmol)
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| ChEBI | |
| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.002.607 |
| EC番号 |
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PubChem CID
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CompTox Dashboard (EPA)
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| 性質 | |
| C 6H 5MgBr |
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| モル質量 | 181.315 g·mol−1 |
| 外観 | 無色の結晶 |
| 密度 | 1.14 g cm−3 |
| 水と反応 | |
| 溶解度 | ジエチルエーテルとTHFに可溶 |
| 酸解離定数 pKa | 45 (共役酸) |
| 危険性 | |
| 労働安全衛生 (OHS/OSH): | |
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主な危険性
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皮膚に重度のやけどを引き起こし、目に深刻な損傷を与える。非常に引火性が高く、揮発性がある。 |
| GHS表示: | |
| Danger | |
| H225, H314 | |
| P210, P233, P240, P241, P242, P243, P260, P264, P280, P301+P330+P331, P303+P361+P353, P304+P340, P305+P351+P338, P310, P321, P363, P370+P378, P403+P235, P405, P501 | |
| 引火点 | −45 °C (−49 °F; 228 K) |
| 安全データシート (SDS) | External MSDS |
| 関連する物質 | |
| 関連物質 | フェニルリチウム 臭化マグネシウム 塩化メチルマグネシウム |
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特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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臭化フェニルマグネシウム(英:Phenylmagnesium bromide)は、化学式C6H5MgBrで表される、マグネシウムを含む有機金属化合物である。ジエチルエーテルかテトラヒドロフラン (THF) の溶液として販売されている。臭化フェニルマグネシウムはグリニャール試薬で、フェニルアニオン"Ph−"のシントン(合成等価体)として用いられる。
調製
臭化フェニルマグネシウムは、ジエチルエーテルかTHFの溶液として販売されている。実験室で合成するには、ブロモベンゼンと金属マグネシウムを攪拌しながら反応させる。反応を開始するためにヨウ素を少量加える場合もある[1]。
マグネシウム(II)イオンを中心金属とする安定な錯体を作るには、エーテルやTHFなどの溶媒を配位させることが必要である。溶媒はアルコールや水などに含まれる酸性プロトンが臭化フェニルマグネシウムとすみやかに反応してベンゼンを与えるため、非プロトン性溶媒でなければならない。また、アセトンや酢酸エチルなどカルボニル基を含む溶媒も使用できない。
構造
臭化フェニルマグネシウムはC6H5MgBrと表記されることが多いが、実際の分子はもっと複雑である。この分子には、必ずエーテルもしくはTHF(溶媒)由来のOR2付加物が配位子として結合している。したがって、Mgは四面体型になり、オクテット則に従う。Mg原子-O原子の結合距離は201 pmから206 pmであるが、Mg原子–C原子およびMg原子–Br原子の結合距離は、それぞれ220 pmと244 pmである[2]。
反応性
臭化フェニルマグネシウムは強い求核剤であり、強い塩基である。それゆえに相方の酸が弱くてもそのプロトンを引き抜くため、この反応を行う際に反応させたくない官能基は保護しておく必要がある。また、ケトンやアルデヒドなどカルボニルにも求核付加する[1][3]。二酸化炭素と反応させると、酸処理を経て安息香酸が得られる。
脚注
- ^ a b Robertson, D. L. (2007年1月3日). “Grignard Synthesis: Synthesis of Benzoic Acid and of Triphenylmethanol”. ミラコスタカレッジ. 2008年1月25日閲覧。
- ^ Stucky, G. D.; Rundle, R. E. (1963). “The Structure of Phenylmagnesium Bromide Diethyletherate and the Nature of Grignard Reagents”. 米国化学会誌 85 (7): 1002–1003. doi:10.1021/ja00890a039.
- ^ Bachmann, W. E.; Hetzner, H. P. (1955). “Triphenylcarbinol”. Organic Syntheses (英語).
{{cite journal2}}: CS1メンテナンス: 複数の名前/author (カテゴリ); Collective Volume, vol. 3, p. 839
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