自閉症とゲーム脳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 18:44 UTC 版)
2005年、ある小学校で保護者らなどを対象に行われたゲーム脳に関する講演で、森が自閉症に関して言及し「最近、自閉症の発症率が100人に1人 = 1%と増えているのは、ゲーム脳のせい。先天的な自閉症の数は変わらないので、増えた分はゲーム脳による後天的自閉症だ。」と発言したという伝聞がインターネットコミュニティを中心に広まった。医学上の通説によれば、自閉症は先天性の脳機能障害であり、あらゆる外的要因でも後天的に起こる自閉症は一切存在しないとされている。このような誤解が広まると、自閉症を抱えた子どもを持つ親は辛い思いをすることになるため、この発言が事実とすれば、自閉症に対する理解不足のみならず、倫理的な観点からも問題がある。 ある主婦が運営するウェブサイトに、自身が参加した講演のレポートとして掲載されたのが知られる発端であり、そのレポート上でも自閉症に対する大きな誤解であることを明確に記していたため、重大な問題発言であると受け止めた個人ブログやウェブサイトなどに取り上げられ、次第に広まっていった。 これを知ったあるブログ運営者が日本自閉症協会(現・NPO法人東京都自閉症協会)に質問メールを送付したことを受け、協会は森に抗議文書を送付したが、森は自身の発言を否定しており、録音した音声などの正式な発言記録も残されていなかった。そのため、協会は抗議を撤回し、ウェブサイトに森への謝罪文を掲載することとなった。森は「ゲームで自閉症になるとは言っていないが、川崎医科大学(岡山県)小児科教授の片岡直樹がテレビにより自閉症類似の症状となるという研究を行っているのを紹介したことがある。自閉症の話を扱う際は、慎重に発言している」とした。 しかし、森の著書『ITに殺される子どもたち-蔓延するゲーム脳』(2004年刊)には「多動児や自閉症は先天的なものだけが原因とはいえない」という趣旨の記述が残されている。また、のちにある個人により、2004年に行われたゲーム脳を題材とした講演(伝聞で発言したとされる講演とは別の会場で行われたもの)の音声が公開された。ここでは川崎医科大学の研究について言及しているが、自閉症を抱えた子どもたちを「おかしい子ども」と表現し、「テレビ・ビデオが原因で自閉症の状態になる」「岡山では100人に1人が自閉症であるが、先天的なものは非常に少ない」という森の発言が残されている。
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