自白の強要(黙秘権の侵害)の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 09:05 UTC 版)
「速度違反自動取締装置」の記事における「自白の強要(黙秘権の侵害)の問題」の解説
自動車所有者にも違反についての責任を課している国では、黙秘権の観点から自白の強要が問題になることがある。 2000年4月、イギリスの1988年道路交通法(Road Traffic Act 1988)の172条(1991年道路交通法第21条により改正)が、自動車の所有者に対し、合理的な注意を払っても運転手を知ることができなかったと認められた場合を除き、違反当時の運転手の情報を提供することを要求しており、運転手の身元に関する情報を提供しない場合、自動車の所有者が速度違反と同様の罰則を受けることが「自白の強要」に相当し、1998年人権法(Human Rights Act 1998)に反しているとして、自身の違反だと認めなければ速度違反と同様の罰則が科されるという脅しの下で余儀なくされた自白をもとに有罪判決を受けたと主張する運転手と、黙秘権を行使し、自白も運転手の情報提供もしなかったことで有罪になり、自分を罪に陥れない権利を侵害されたと主張する運転手が訴えを起こした。最初は判事によって訴えが認められたが、その後覆され、欧州人権裁判所(ECtHR)と欧州司法裁判所(ECJ)で審理された。2007年、欧州人権裁判所は、カメラに映ったスピード違反の自動車の所有者に違反当時の運転手の名前を提供するよう求めることは、欧州人権条約第6条に違反していないと判断した。 日本では車両の名義人に違反当時の運転手の情報を提供する義務がなく、自白または運転手の情報提供が得られなかった場合、警察が運転手を立証できなければ検挙されないため、このような問題は発生してない。なお、放置駐車違反には放置違反金制度があるが、これは誰が運転していたかを問わず、車両の名義人に対して違反金を請求するものであり、このような問題は発生していない。
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