膵島移植
膵島移植
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 12:30 UTC 版)
生体または死体から摘出した膵臓よりランゲルハンス島を分離し、糖尿病患者に移植することができるようになった。これを膵島移植という。カナダのグループによりエドモントンプロトコールと呼ばれるステロイドを用いない新しい免疫抑制法が導入されてから、ランゲルハンス島の成着率は飛躍的に改善したが、それでも、一人の患者の治療に何回かの膵島移植が必要となることが多い。 長期にわたってインスリン治療から離脱できる患者は少数であり、膵臓移植のほうが成績は良い。門脈内へランゲルハンス島を注入するだけであり、膵臓移植と比較して移植を受ける者の体への負担が軽いうえ、合併症のおそれも少ない。日本では2004年に始まったが、2007年にBSE問題で中断された。当時は移植過程で、牛の脳の成分を一部利用した薬が使用されていたためである。その後、牛の脳を使わない手法も開発され、2010年からは高度医療評価制度が適用されることになった。 課題としては、臓器などの提供者が少ない日本で、十分なランゲルハンス島を得ることが難しいこと(提供された膵臓からランゲルハンス島の分離に成功する確率は50%程度)や、高額な費用が挙げられる。 iPS細胞(人工多能性幹細胞)で膵島を作り,糖尿病患者で膵島が機能をしていない患者に移植しようとする計画がある。iPS細胞は患者自身から正常細胞を採取し生成するため、自己免疫機能による移植時の移植した細胞の死を防ぐことができる。ただし費用面の問題もあり、実用化は極めて困難である。
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