膨張彫刻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/25 09:24 UTC 版)
「セザール・バルダッチーニ」の記事における「膨張彫刻」の解説
1960年代後半、彼は「型取り彫刻」をいくつか作成する。これも手作業による物ではなく、自らの親指や人の顔や乳房など人体の一部を型にとり、それを手を加えずにそのまま拡大した即物的なものである。中には巨大なサイズに引き伸ばされたものもあり、巨大すぎて人体の一部であるという「意味」が分からなくなるようなものであった。 膨張する彫刻の製作の過程で型取り用の素材を探していた時に、セザールは知人の工場で発泡ポリウレタンに出会う。二種類の樹脂の液体を混合させ、発泡を促進する発泡剤を加えるだけでたちまち膨張しふっくらとした塊になる素材に、彼は思わぬ可能性を発見し、うねりながらふくらみ有機的な形になる「膨張(エクスパンション)彫刻」を発表した。 これも最初は偶然の産物であったが、やがて膨張後の表面が砕けないようにする保護剤を操作し、もとの樹脂に真珠のような色を混ぜ、できた表面に研磨まで行うことで、自覚的な彫刻作品に仕上げていった。 彼は膨張彫刻を公開制作したほか、各地のパブリック・アート設置に招かれ、膨張彫刻や巨大にした型取り彫刻を各地に設置した。また、友人のジョルジュ・クラヴァンヌが主催し始まったフランスの映画賞のためにもトロフィーとなる彫刻を制作し、この賞はセザールを記念して「セザール賞」と呼ばれるようになった。 1998年にパリで死去し、モンパルナス墓地に葬られている。
※この「膨張彫刻」の解説は、「セザール・バルダッチーニ」の解説の一部です。
「膨張彫刻」を含む「セザール・バルダッチーニ」の記事については、「セザール・バルダッチーニ」の概要を参照ください。
- 膨張彫刻のページへのリンク