腎性乏尿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/08 19:49 UTC 版)
さらに、以下のいくつかの場合に分けられる。 腎前性腎不全からの移行 脱水、ショック等の腎前性腎不全が重度でかつ長期にわたる場合、腎組織に虚血性の障害を生じ、最も弱い尿細管が急性尿細管壊死(ATN)の状態となり腎性腎不全に移行する。腎不全となった場合には、補液や利尿剤には反応しない。 薬物中毒による急性尿細管壊死 抗生剤、抗癌剤、造影剤、農薬、重金属等による中毒性の腎障害は多く急性尿細管壊死の形で腎不全を呈する。毒性を有する物の過量投与あるいは複数の併用時、脱水の存在する場合、利尿剤と併用されている場合、老人、腎機能障害例などでよくみられる。 急性間質性腎炎 ペニシリン、サルファ剤、消炎鎮痛剤を始めとするいくつかの薬剤に対するアレルギー反応から間質性腎炎をきたし急性腎不全となる。また腎盂腎炎等の細菌感染の場合、二次的にアレルギー反応が強くでる可能性もある。普通尿量は大きく変化しない程度である。 糸球体腎炎、各種の腎障害 典型的な急性糸球体腎炎では潜伏期をもつ特有の病歴と、補体値の低下の所見から診断は容易である。SLE、腎盂腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、血清病なども含まれる。これらの疾患では無尿に至ることは比較的少ない。診断はいずれも特徴ある臨床症状、検査所見から容易である。いかなる疾患が原因でも人工透析が必要となる末期になれば乏尿、無尿となり、さらにはまったく尿排泄を見なくなる。 DIC 広範に腎の細小動脈が閉塞した場合、例えばDICが腎に及ぶと乏尿、無尿となる。臨床症状、血液凝固系検査所見(血小板減少、フィブリン分解産物増加、フィブリノーゲン減少)がみられる。
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