習慣的な反復記号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 05:24 UTC 版)
ソナタ形式楽曲の演奏においては、主題の曲調を印象づけることが展開部や再現部をより強く聴衆に印象づけることになるため、ソナタ形式による作曲法が全盛であった18 - 19世紀には、提示部は反復記号により繰り返し演奏が行われてきた。そのため、提示部には習慣的な反復記号が付けられているものが多い。また短いソナタ形式の楽曲では、特に古いものに、展開部・再現部をまとめて習慣的な反復記号を付けているものもある。これらは二部形式の名残である。このような反復記号は、ブラームスの時代には廃止される方向にあった。 (序奏) 提示部 展開部 再現部 (コーダ) (序奏) 提示部 展開部 再現部 (コーダ) しかしながら、レコードなどの録音媒体が普及し始めたころになると、録音時間の制限もあり、反復が行われない録音が普通となった。またその録音媒体の普及のため反復が行われない演奏が普及すると、繰り返し演奏がかえって冗長に感じられる場合が多くなり反復が行われないことが多かった。しかし近年になって作曲者の意思を重視するという風潮から、再び反復が行われることが増えている。とりわけオリジナル楽器を用いた演奏の場合、往時の演奏の忠実な再生を意図する立場から反復が行われることが通常である。 旧来より反復されてきた作品はベートーヴェンの交響曲第5番の第1楽章, 交響曲第8番の第1楽章などがあげられる。
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