繁殖・生活環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 15:09 UTC 版)
雌雄異体であるが、集団ごとの性比のばらつきが大きく、雄のみしか見出されない場合もある。繁殖期は太平洋岸(相模湾)では6月下旬から7月上旬とされるが、いっぽうで日本海側(富山湾)では冬季に繁殖するとの推定や、富山湾において、生殖線の発達は冬季にピークを迎えるとの観察例もなされており、まだ十分な知見が集積されていない。発生の段階としては、幼生はビピンナリアとブラキオラリアを経由する。成長した幼生は4.4mmに達し、約4ヶ月で変態する。稚ヒトデは径1mmで、6腕を持つ。なお、幼生が前後に分裂し、それぞれの部分からヒトデ原基を形成することが観察されており、成体だけでなく、幼生でも無性生殖が行われている可能性がある。通常の有性生殖を営むほかに無性生殖を盛んに行い、頻繁に分裂することで増殖する。兵庫県豊岡市沿岸で採取された20-30個体が、遺伝子分析によって全て同一のクローン個体であった事例も報告されている。また、富山湾付近では、見出された個体の96%(黒崎付近)あるいは87%(魚津付近)が、分裂して増殖したものと推定されたという。分裂あるいは外傷によって欠けたか腕は、ある程度の期間を経て再生する。そのため、腕のうち何本かが再生の途上にあって相違的に短い、不対称な形の個体もしばしば見かけられる。飼育下での観察では、6腕の稚ヒトデが分裂して3腕ずつになった後、30日めには腕の再生が完了して分裂前と同様の体制を備えた二個体となったという。また、この分裂の後で4-5ヶ月を経過するとさらに二度目の分裂を行う個体もあり、二度目の分裂から13ヶ月後には性的成熟を迎え、飼育環境下での産卵を経て、次世代の稚ヒトデを生じたとされている。
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