統計学の6σとの差異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/01 02:22 UTC 版)
「シックス・シグマ」の記事における「統計学の6σとの差異」の解説
シックス・シグマで主張する確率(3.4/1,000,000)は、正規分布で6σを超える確率とは異なる数値である。正規分布に従う製品不良の発生状態において、顧客仕様限界の幅を±6σとした場合、それから外れる確率は10億分の2、すなわち0.002ppmである。シックス・シグマにおける値は3.4ppmであり、両者には大きな差がある。 6σの由来を示す。式を簡単にするために分布の上方だけを考えると、工程能力指数の一つである Cpk と顧客仕様限界 USL との関係は、 C ^ p k = U S L − μ ^ 3 σ ^ {\displaystyle {\hat {C}}_{pk}={USL-{\hat {\mu }} \over 3{\hat {\sigma }}}} である。 C ^ p k = 1.5 {\displaystyle {\hat {C}}_{pk}=1.5} とし、平均値のゆらぎを w = 1.5 σ ^ {\displaystyle w=1.5{\hat {\sigma }}} とすると、USL と平均値のゆらぎの中心との隔たりは、 ( U S L − μ ^ ) + w {\displaystyle (USL-{\hat {\mu }})+w} = 3 σ ^ × C ^ p k + 1.5 σ ^ {\displaystyle =3{\hat {\sigma }}\times {\hat {C}}_{pk}+1.5{\hat {\sigma }}} = 3 σ ^ × 1.5 + 1.5 σ ^ = 6 σ ^ {\displaystyle =3{\hat {\sigma }}\times 1.5+1.5{\hat {\sigma }}=6{\hat {\sigma }}} にする必要がある。 シックス・シグマにおける象徴的目標は、サンプリングされた各データの平均値の(時間の経過に伴って起こる)ゆらぎを勘案してもなお、Cpk を1.5にしようというものである。Cpk = 1.5 は、シグマ・レベルでの4.5σに等しい(3σ×1.5=4.5σ)。このとき、顧客仕様限界から外れる確率が、片側で3.4ppmである。これを達成するには、平均値のゆらぎを勘案しない短期的なデータから計算される Cpk が2.0、つまりシグマ・レベルが6σである必要がある。これは、平均値のゆらぎが一般的に1.5σであるという定説に基づく(4.5σ+1.5σ=6σ)。 Cpk やシグマ・レベルで表される工程能力は、顧客仕様限界に対する、品質特性データのばらつきの裕度である。 顧客仕様限界と管理限界とが混同されることが多い。一般的に品質管理で使われる管理図は、±3σを管理限界としている。この管理限界は、プロセスのアウトプットから採取される品質特性データから計算されるものであり、プロセスの異常を検知する目的で使用される。
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